黒字倒産?不動産投資のデットクロスをシミュレーションしよう

黒字倒産?不動産投資のデットクロスをシミュレーションしよう

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2018.6.28(木)

不動産投資

意味を正しく理解して、倒産の危機を回避する

「デットクロス」と「デッドクロス」。
この2つの言葉の意味の違いをご存知ですか?

不動産投資を行う際には、黒字倒産の危険性があるデットクロスを避けなければなりません。
どれだけ投資物件で利益が出ていても、所得税を支払うことができなくなるケースが起こりえます。

ここではシミュレーションを通じて、キャッシュフローをきちんと理解しておきましょう。
そして資金繰りが苦しくなる前に、対策を立てましょう。

デッドクロスは間違い!デットクロスとは?

デットクロスとは「借入金の返済額が、減価償却を上回るようになった状態」であり、不動産投資において使われる言葉です。
デットクロスのつづりは「debt cross」であり、debt(借金)がcross(交差する)という意味になります。

混同して使われがちですが、「デッドクロス」ではありません。

FXや株でなじみのあるデッドクロスは、dead(死)がcross(交差する)という別の意味です。
株価暴落により、早く売らないと大変なことになるのがデッドクロスであり、いわゆる「売りどき」といわれています。

しかし、不動産投資のデットクロスは物件の売りどきを指していません。
どのようにして借入金の返済額が、減価償却を上回るようになるのかをみていきましょう。

減価償却費の減少

物件の購入直後は、減価償却費が大きいとされています。
つまり、手元に残るお金が多くなりますが、年数が経つにつれて減価償却ができる額は減少します。

借入の返済金額を毎年同じように支払っていると、あるとき資金繰りが困難になり、デットクロスが発生する仕組みです。

元金の返済割合が増加する

不動産投資では、金融機関から借入を行ったときに「元利均等返済方式」が採用されるケースが多いでしょう。

元利均等返済とは、月々の返済額を一定にするために、元金と利息の割合を調整することです。
借入当初は利息の返済割合が大きいですが、利息は経費として計上できます。
経費に計上できれば、税金を支払う金額が少なくて済みます。

しかし、利息の計算は元金の残金によって変わり、年数が経過して返済が進むと利息の割合が少なくなるものです。
言い換えれば、月々の返済額が同じでも、今度は元金の返済割合が増加してきます。

元金は経費計上できないため、以前よりも納める税金が多くなり、デットクロスが発生します。

デットクロスをシミュレーションしてみよう

それでは、実際に数字を用いてデットクロスをシミュレーションしていきましょう。

・土地2,000万円
・建物3,000万円
・残存耐用年数15年
・ローン年利率3%
・返済期間20年

家賃収入は年間500万円、経費が年間100万円、年間のローン返済額336万円、税率30%といったケースをみていきます。

税引き前のキャッシュフロー
家賃収入(500万円) – 経費(100万円) – 年間のローン返済額(336万円) =64万円

1年目の減価償却費
3,000万円÷15年=200万円

利息150万円と仮定すると、以下の金額が残ります。

家賃収入(500万円)-減価償却費(200万円)-利息分(150万円)-経費(100万円)=50万円

さらに、ここから税金が引かれます。
50万円×30%=15万円

よって、1年目で最終的に残るお金は、次のとおりです。
64万円-15万円=49万円

次に、減価償却終了後(16年目)のキャッシュフローをみていきます。

16年目の減価償却費
なし

残りの利息分46万円、経費100万円と仮定すると、次のとおりです。

家賃収入(500万円)-利息分(46万円)-経費(100万円)=354万円

ここから税金を差し引きます。
354万円×30%=106万円

税引き後に残るお金を計算してみると、以下のようになります。

64万円-106万円= -42万円

大きくマイナスのキャッシュフローになり、デットクロスが発生しました。

黒字倒産しないために

黒字倒産とは、帳簿上は利益が出ているものの、資金繰りができずに倒産してしまうことです。
滞納していなければ黒字倒産しないわけではなく、シミュレーションのように減価償却を支払い終えたときにデットクロスが発生するケースがあります。

もし投資物件の金額が大きく、複数のデットクロス物件を保有していたら、たちまち倒産の危機に陥るでしょう。

黒字倒産しないためにも、税金の支払いを含めた長期的な計画を立てることが大切です。
具体的な対策案として、以下の方法が挙げられます。

・減価償却期間とローン返済期間を同じにする
・借り換えにより返済期間を延ばすことで、毎月の支出を抑える
・頭金を多めに入れる
・借り入れ金額自体を少なくする
・繰り上げ返済を行う
・不動産収入を蓄えておく

金融機関から余裕をもって借入を行うか、手元のお金を常に多めに持っておくようにしましょう。

ただし、返済期間をあまりに短くすると、1年目から資金繰りが苦しくなってしまいます。
また、デットクロスが発生しそうな物件を思いきって売却するのも、黒字倒産を防ぐ1つの方法です。

デットクロスの発生までに準備をしておく

キャッシュを残すためには、納める所得税額を少しでも減らす工夫も重要です。
経費をより多く計上するために、所得税の控除制度や、青色申告の特別控除を受けてみてもよいでしょう。

自分の保有する物件がいつデットクロスを招いてしまうのか、心配な方は税理士に相談することをおすすめします。

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